自然情報 / Nature Pickup Guide樹木
園内遊歩道から観察できるもの。科に記載のOO種は、園内全域で確認された科別樹種数。
アワブキ科
アワブキ
名前の泡吹(あわぶき)は、枝幹を燃やすと切り口から泡をふくの意。
イチイ科
チャボガヤ
カヤの多雪地型。葉先が針のように尖っているので要注意。
イヌガヤ科
ハイイヌガヤ
イヌガヤの多雪地型。上と似るが、葉先を握っても痛くない。
イネ科
シナノザサ
別名:クマイザサ。葉裏面に毛の無いものはチマキザサ。
ミヤコザサ
園内では前記シナノザサと隣り合った場所で自生。
アズマネザサ
一般に篠竹(しのたけ)と呼称される。繁茂しないよう適正な管理が必要。
ウコギ科(6種)
ヤマウコギ
昔、米沢藩では生垣をウコギで作ることを奨励し、救荒食とした。
コシアブラ
タラノメ同様、採取はほどほどに。(採りすぎると…枯れます)
タカノツメ
名前は冬芽の形が『鷹の爪』に似ていることから。実は野鳥の格好のエサ。
タラノキ
山菜としてはともかく、当園内で増える事は不自然であり、ちょっと厄介もの…。
ハリギリ
隣接して3本立ちしており、園内の広葉樹としてはめずらしい大木。
ウルシ科
ヤマウルシ
体質によってはカブレるので要注意。
ツタウルシ
園内各所にあり、ヤマウルシよりカブレが強いので注意が必要!
エゴノキ科
エゴノキ
広場園地周辺に多く春の花は見事。夏から秋の実の様子も一見の価値あり。
カエデ科(20種)
アサノハカエデ
名前は葉の(形ではなく)質感がアサに似ていることから。
イタヤカエデ
広場園地のシンボルツリー。春先、葉に先駆けて黄色の花が木をうめつくす。
ウリカエデ
下記のウリハダカエデと似ている。園内では隣り合ったものが各所にある。
ウリハダカエデ
名前は幹の肌が甜瓜(まくわうり)に似ていることから。
オガラバナ
ウワミズザクラに似た穂状の花を付けることから別名ホザキカエデ。
コハウチワカエデ
よく似ているハウチワカエデが紅色の花を付けるのに対して、こちらは淡黄色。
コミネカエデ
標高の高いところに自生するミネカエデと棲み分ける。
チドリノキ
実の形が千鳥に似ていることからチドリノキと呼ばれる。別名ヤマシバカエデ。
ハウチワカエデ
名前は天狗の持つ羽団扇(ワシ・タカの羽で作ったうちわ)に似ていることから。
ヒトツバカエデ
葉の形はカエデ特有の切れ込みがなく『これでもカエデ?』と思わせる。
オオモミジ
いわゆるヤマモミジは本種の他に日本海側のヤマモミジ、西日本のイロハモミジ。
オオイタヤメイゲツ
万葉を思わせる雅(みやび)な名前。葉の形や樹形も優美。
カツラ科
カツラ
秋、ハート型の葉は黄葉とともに甘い芳香を放つ。香出る(かづる→かつら)。
カバノキ科(13種)
シラカンバ
長野県の県木。高原に涼しげにあるが伐採地に真っ先に生えるたくましさもある。
ウダイカンバ
名前は鵜飼(うかい)のとき明りとして使う鵜松明(うたいまつ)から。別名:マカンバ。
クマシデ
クマシデ属の仲間はアカシデ、イヌシデ、サワシバがありよく似る。
ケヤマハンノキ
根粒菌により窒素固定をするため、やせた土地で優先的に自生する。
タニガワハンノキ
別名:コバノヤマハンノキ(コバハン)。成長が早く治山に使われる。
ヨグソミネバリ
別名:アズサ、ミズメ。枝・葉を折るとサロメチール(湿布薬)の臭い。
ヤシャブシ
実はタンニンを多く含み、染料(明ばん媒染)として渋めの色に染め上がる。
ツノハシバミ
ヘーゼルナッツの仲間。実の形はとってもユニークながら可食。
キブシ科
キブシ
名前は実を五倍子(付子:フシ‥染料に使う)の代用として用いたことから
クスノキ科(5種)
クロモジ
朝廷に仕える女房の使う女房詞(ことば)で【黒木(くろき)の楊枝】を意味した。
ダンコウバイ
このあたりでは春(4月初旬)にまっさきに咲き、春の訪れを知らせる。
アブラチャン
花はダンコウバイと似ているが、それより淡黄色で小さめな花。
クマツヅラ科
ムラサキシキブ
名前は古名の【紫敷実(ムラサキシキミ)】の【シキミ】が【シキブ】に転化。
クサギ
名前は茎葉が臭い(というほどではないが)ことから。花は一見の価値あり。
クルミ科
オニグルミ
園内各所にあってリスの食痕だらけ(2つに割れる。ネズミは穴をあける)。
ヒメグルミ
上記との差異は実の殻が扁平で表面がなめらか(それ以外での区別は困難)。
サワグルミ
クルミと名が付くが(小さ過ぎて)食べられない。谷川沿いに自生し巨木となる。
クロウメモドキ科
クロウメモドキ
枝の先端は鋭い刺状になっており、不用意につかむと危険。
クロツバラ
クロウメモドキにそっくり。冬芽による識別が有効であることの絶好な見本。
クマヤナギ
大仰な名前であるが熊でも柳でもない、つる性木本。かんじきの材として用いる。
ゴマノハグサ科
キリ
成長が早く有用な材として、桐箪笥(たんす)・下駄・茶道具等に用いられていた。
スイカズラ科(14種)
スイカズラ
別名:忍冬(ニンドウ)…冬も葉が落ちない(冬を耐え忍ぶ)ことから。
タニウツギ
本種の分布は主に日本海側。下記は太平洋側だが、当園内には両方自生する。
ニシキウツギ
名前は花色が白から紅色に変化し、2色の花が見られることから。
ツクバネウツギ
名前は萼片の付いた果実の形が、羽根(衝羽根)に似ていることから。
オオカメノキ
別名:ムシカリ。薄暗い林床に真白い花を咲かせ、やがて亀のような葉を広げる。
ヤブデマリ
藪に生える手毬花(オオデマリ)の意。オオカメノキと似るが葉の形状が異なる。
オトコヨウゾメ
ガマズミの別名:ヨウゾメに対して男ヨウゾメの意だが、むしろ繊細で弱々しい。
ガマズミ
名前は『神つ実』→『ガマズミ』で、冬期間の霊前への供え物にしたという説もある。
コバノガマズミ
上記が全国に分布するのに対し、関東以西・四国・九州に生育する。
オオミヤマガマズミ
ミヤマガマズミの変種。より標高の高い場所に生育する。
ニワトコ
打撲や骨折に、その煮溶かしたもので湿布することから別名:接骨木。
ミヤマウグイスカグラ
カグラは鳥を捕らえる場所『狩り座』が転化したとの説や『ウグイス隠れ』からとも。
スギ科
スギ
日本の人工林面積の半分はスギ。名前は通直(まっすぐ)を意味する。【直ぐい木】
ツツジ科(24種)
ネジキ
別名:カシオシミ。有毒植物:ヤギが葉を食べて死んだという記録がある。
ナツハゼ
名前は夏からハゼのように紅葉するの意。園内ではよく似たネジキと並んでいる。
ヤマツツジ
もっとも親しまれている野生のツツジ。花の色や形には変化があり品種が多い。
バイカツツジ
名前は葉陰にひっそりと咲く花を梅の花に見立てたもの。
ホツツジ
赤みを帯びた白い花が穂になって多数咲く。別名:ヤマボウキ。
ムラサキヤシオ
別名:ミヤマツツジ。山地から亜高山まで自生し、春の訪れを告げる。
コヨウラクツツジ
釣鐘型のまるでサクランボの実のような小さな花が咲く。
アクシバ
名前は青木柴(あおきしば)の転化説、燃やした灰でアクを抜いた説など。
ニシキギ科(8種)
ニシキギ
枝に薄い板状の翼がある。名前は紅葉が錦のように美しいことから。
コマユミ
ニシキギの品種。板状の翼がないもの。
サワダツ
山地の沢に立っているので「沢立(さわだつ)」か。別名:アオジクマユミ。
ユモトマユミ
マユミに似るが葉の裏に突起状の短毛が密生する。別名:カントウマユミ。
ツリバナ
名前は花が吊り下がることから。秋、赤い果実が熟して朱赤の種が顔を出す。
ツルマサキ
常緑つる植物。茎はほふくし横に広がるか、気根を出して他の樹木をよじ登る。
ニレ科
エノキ
国蝶:オオムラサキの食樹であり、同時に当園内ではゴマダラチョウの棲家。
エゾエノキ
エノキとの見分けは葉の形状(エノキはギザギザ(鋸歯)の比率が少ない)。
ハイノキ科
サワフタギ
別名:ルリミノウシコロシ。瑠璃色の果実がたわわに実ると見事。
タンナサワフタギ
タンナは耽羅(済州島)の古名。果実はサワフタギと違い黒色。
バラ科(29種)
ヤマブキ
古くは山振と書かれ、しなやかな枝が風に揺れるさまを表した。
カスミザクラ
当地ではもっとも多い山桜。名前は花が霞のように見えることから。
ウワミズザクラ
花が長い総(ふさ)状になる(まるでコップ洗いのブラシのよう)。
イヌザクラ
花はウワミズザクラと似るが、より小型で花序の軸に葉がない点が異なる。
エドヒガン
花の下の萼筒がぷっくり壺形にふくれるのが見分けるポイント。
ソメイヨシノ
エドヒガンとオオシマザクラの雑種と考えられる。江戸染井村の吉野桜の意。
ズミ
別名:コナシ、コリンゴ。つぼみは赤く開花すると樹全体が真っ白になる。
カマツカ
鎌の柄(つか)とした。別名:ウシコロシは牛の鼻輪として使ったことによる。
ナンキンナナカマド
ヒョロヒョロしており、ナナカマドらしくない(?)ナナカマド。
ノイバラ
別名:ノバラ。枝には対になった刺があるが、形が鉤状のため引っ掛かりやすい。
ナワシロイチゴ
もっとも一般的な野イチゴ。名前は田の苗代の頃に実が熟すことによる。
エビガライチゴ
全体が毛むくじゃらなので海老(えび)殻だそうだが…海老というより毛蟹では。
クマイチゴ
大型なので熊なのか、クマのでそうなところに生えるから熊イチゴなのか。
モミジイチゴ
(個人的には)エビガライチゴと本種が美味しさのトップ。
ニガイチゴ
枝に白いロウ質の粉がつく。別名:ゴガツイチゴ。
ヒノキ科
ヒノキ
火をおこす材として使ったので「火の木」って、そのまんまですねぇ。
サワラ
上流林間駐車場の大きなサワラの洞(ほら)にはミツバチが営巣中。
ネズミサシ
葉先が鋭いので、不用意に触ると痛い思いをすることに…。
フサザクラ科
フサザクラ
1科1属1種という孤高の存在。谷筋に多く、園内では各所に純林がある。
ブドウ科
ヤマブドウ
果実はなかなかに美味だが、雌雄異株なので雄の木には結実しない。
ブナ科
クリ
別名:シバグリ。野生のシバグリに対し、栽培のタンバグリは実が大きい。
コナラ
かつては定期的に伐採することにより萌芽更新し、雑木林が維持されていた。
ミズナラ
ブナとともに冷温帯林の代表種。園内では各所でコナラと並んで自生する。
マタタビ科
マタタビ
花の頃、葉が白くなり遠くからでもその存在がわかる。猫にマタタビ…真実!
ミヤママタタビ
マタタビと似るが葉が紅色になる。実はマタタビより甘く生食可。
サルナシ
別名:シラクチヅル。キウイフルーツは中国原産のシナサルナシの品種改良。
マツブサ科
マツブサ
別名:ウシブドウ。落葉つる性木本。枝や葉あるいは実に松脂の匂いがある。
マツ科(11種)
アカマツ
園内の優先種。穂高側には純林が広がる。
ツガ
このあたりを境に標高の高いところはコメツガとなる。
ウラジロモミ
諏訪の御柱(おんばしら)に用いられる樹。長野県中部高地の優先種。
モミ
ウラジロモミは高所、モミは低山に自生するが園内には両方自生する。
カラマツ
自生する針葉樹では唯一、黄葉・落葉する。秋の落葉は金色の雪が舞うよう。
マメ科
ヤマハギ
日本の秋の野山を代表して、もっとも普通に見られる萩。
マルバハギ
ヤマハギとの相違は葉が丸いということよりも、花に柄がないという。
フジ(ノダフジ)
つるは左巻き(左肩上がり)。西日本に自生するヤマフジは右巻き(右肩上がり)。
ハリエンジュ
別名:ニセアカシア。誤名:アカシア。北米原産。下記と同様。
イタチハギ
北米原産。道路の法面の緑化として植栽されたが、河原などに野生化。
ミカン科
キハダ
人間には薬となり、鳥には餌となり、蝶(ミヤマカラスアゲハ)の食樹となる。
イヌザンショウ
イヌは【犬】ではなく【要(ら)ぬ】で役立たずの意だが、オナガアゲハには食樹。
ミズキ科
ミズキ
名前は、樹液が多く早春に枝を切ると水が滴り落ちることから。
クマノミズキ
花期はミズキより1カ月ほど遅い。冬芽での区別がもっとも容易。
ハナイカダ
花(実)が葉の真ん中につく変わり者。それを筏(いかだ)に見立てた良いセンス。
ミツバウツギ科
ミツバウツギ
どうしてこんな形の実になるのか、軍配のような口ひげのような…。
メギ科
メギ
別名:コトリトマラズ。鋭い刺があり、とても小鳥はとまれない。
モクセイ科(8種)
マルバアオダモ
園内に多く、早春、綿菓子のような花が樹全体を覆い、樹そのものが綿菓子に。
イボタノキ
イボタロウムシが寄生してできるロウは「虫白蝋(ちゅうはくろう)」という薬になる。
モクレン科(7種)
ホオノキ
葉と花は日本の樹木の中ではもっとも大きい。花の寿命は短く生花には不向き。
コブシ
下記との見分けは、花の下に葉があるのがコブシ。無いのがタムシバ。
タムシバ
別名:ニオイコブシ。葉をもむと芳香がし、噛むとほのかに甘い。
モチノキ科
アオハダ
名前は、樹皮を爪ではがすと緑色の内皮が見えることから「青膚」。
オニツルウメモドキ
ツルウメモドキの変種。違いは葉の裏面脈上に隆起と突起毛がある。
モチノキ科(8種)
ソヨゴ
このあたりでは榊(サカキ)と呼ばれる。(サカキは県内では南信にのみ自生)
ハイイヌツゲ
イヌツゲの日本海型(多雪地型)。櫛を作るツゲに似るが別種。
ヤナギ科(10種)
オノエヤナギ
別名:カラフトヤナギ。尾の上(山の上)に生えるヤナギの意。
タチヤナギ
日当たりの良い水辺を好み、なかには水没しているものもある。
オオバヤナギ
高さ20mにもなり、葉も雄花序も長大。葉の根元にある扇形の托葉が目立つ。
コゴメヤナギ
高さ25mとヤナギ類の中では最大級になるが、葉や花(雄花序)は小さい。
バッコヤナギ
別名:ヤマネコヤナギ。山地や原野の日当たりの良い乾燥地に生育する。
イヌコリヤナギ
名前は、コリヤナギ(行李柳:コウリヤナギ)に似るが役に立たないの意。
ドロノキ
別名:ドロヤナギ、デロ。高さ30mにもなる。園内にも巨木が自生。
ヤマナラシ
別名:ハコヤナギ。ちなみに【セイヨウハコヤナギ】とは【ポプラ】のこと。
ユキノシタ科(8種)
ウツギ
別名:ウノハナ。梅雨の長雨を「卯の花くたし(卯の花を腐らせる)」というとか。
バイカウツギ
名前は、枝先にぎっしりとつく花の様子が梅の花に似ていることから。
ツルアジサイ
別名:ゴトウヅル。他の樹にはい登り、長さ20mほどにもなる。イワガラミと似る。
ノリウツギ
別名:サビタ。名前は和紙を漉くときの糊としたことによる。
ヤマアジサイ
しっとりと降り続く梅雨のなか、ヤマアジサイがよく似合う。
タマアジサイ
開花前は球形の蕾が、くす玉が割れるようにして両性花と装飾花が姿を現す。
リョウブ科
リョウブ
【令法(りょうぶ)】‥奈良時代、飢饉時の救荒食物として栽培を【法令】で定めた。
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